気づくのが遅くてごめんね――それでも君と歩いた日々は宝物
あんず
いっぱい遊びに行ってたのかな~?
レオ
飼い主さん、毎日すごく忙しかったからさ。
でも、帰ってくるのを玄関で待つのは、ぼくの楽しみだったんだよ。
タル吉
気づかないうちに過ぎていく日々って、誰にでもあるのかも。
あんず
どこで変わったの?
はる
背中の毛に白いものを見つけたときにね――
やっと私は、大切な時間のことを考えるようになったんだよ。
…今日はそのお話を、少しだけ聞いてくれる?
忙しさに追われて気づけなかった日々
小さかった頃のレオは、決して体が弱かったわけじゃありません。
けれど、私が仕事と家事に追われる毎日で、なかなか外へ連れ出してあげることができませんでした。
それでもレオは、いつも静かに玄関で私の帰りを待っていて、目が合うと小さくしっぽを振ってくれました。
それだけで満足そうな顔を見せてくれていたのが、今でも忘れられません。
「今度の休みに、どこか行こうね」
そう声をかけながらも、何度も何度もその約束を後回しにしてしまっていたのです。
そんな私が変わったのは、レオが10歳の誕生日を迎えた頃でした。
ふと見たレオの背中に、白く混じった毛を見つけた瞬間――
「あれ、こんなに歳をとったんだ…」と胸が締めつけられるような気持ちになりました。
失った時間を埋めるように――笑顔が増えていった週末
あんず
ちょっとさみしいよ〜…
レオ
でもね、あんず……ぼくには、ちゃんと“宝物みたいな時間”があるんだ。
タル吉
あんず
聞きたい聞きたーいっ!
はる
じゃあ今日は、その思い出を少しだけ聞いてもらえるかな。
取り戻した時間と、今そばにある静かな幸せ
そこから私は、本気でレオと向き合うことを決めました。
毎週末になると、車にレオを乗せてあちこちへ出かけるように。
海に行って、波にびっくりして飛び跳ねたこともありました。
山道では途中で抱っこして、汗だくになって一緒に登った日もあります。
いっぱい歩いて疲れて、おうちで一緒にねんね
道の駅では、焼き芋を半分こして笑い合いました。
まるで、これまで過ごせなかった時間を取り戻すかのように――
その時間は濃く、そして温かく、私たちの心に刻まれていきました。
レオは何も責めませんでした。
ただ、嬉しそうに私の隣で笑ってくれていたのです。
そして今、14歳になったレオは、ゆっくりと過ごす時間が増えました。
昔のような長い散歩はしなくなりましたが、静かに寄り添ってくれるその姿に、私は何度も涙をこらえています。
「もっと早く気づいてあげればよかった」――そう思うこともあります。
けれど、きっとレオはこう言ってくれる気がするのです。
「大丈夫、ちゃんと一緒に過ごせたよ」って。







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